歴史
19世紀のオーストラリアで、開拓者たちが広い牧場で飼うために作った牧畜用の犬種です。ヨーロッパからオーストラリアに連れて来られた犬は、長距離の移動ができず、厳しい気候にも耐えられなかったので、新しい交配が始められました。このキャトル・ドッグは、スコットランド産のブルーマール・コリーと野生のオーストラリアン・ディンゴの交配から生まれた犬種です。さらにオーストラリアン・ケルピー、ダルメシアン、ブル・テリアなどとも交配され、その結果、優秀な牧畜犬が誕生しました。作業を力強く黙々とこなし、オーストラリアの厳しい気候にも適応できるすばらしいスタミナを持っています。クイーンズランド州で広く飼われていたことから、クイーンズランド・ブルー・ヒーラーという名で知られるようになりました。その後、1893年にロバート・カレスキーがこの犬種のスタンダードを作成し、1903年にはオーストラリアで承認されました。1980年、アメリカン・ケンネル・クラブ(AKC)に承認されています。
特徴
比較的小柄で、丈夫な作業犬。力強くてたくましく、しかもじつに機敏です。体長が体高より少し長く、ちょっとカーブした尾が後肢まで垂れています。前肢は正面から見てまっすぐなものがよいとされます。頭部は丸みを帯びた幅広の形で、浅いですがはっきりとしたストップ(両目の間のくぼみ)が見られます。耳は大きな立ち耳で、適度にとがっています。目はアーモンド形で、色はダークブラウン。噛み合わせはシザーズ・バイト(上歯が下歯にややかぶさるはさみ状の噛み合わせ)がよいとされます。被毛は、密生した短いアンダーコート(下毛)と、短くてまっすぐなオーバーコート(上毛)のダブルコート。風雨に強く、なめらかです。毛色は青灰色か赤の小斑。青灰色の場合は、単色か、ブルーの斑や小斑があり、頭部に黒、黄褐色の細かい斑を伴ったブラックのもの、ブルーまたはタンの模様が見られるものもあります。胴部にある黒の模様は好まれません。レッドの小斑はアンダーコートも含めて全身に広がっているのがよいとされます。初期のダルメシアン交配の名残りから、生まれたときは全身が白っぽい毛色で、足の裏だけに大人の毛色が見られます。
飼育のポイント
牧羊、服従競技、アジリティー競技にたいへん優れています。飼い始めたときからきちんと訓練し、念入りに世話を続ければ優秀なペットになるでしょう。人のかかとを軽く噛むことがありますが、これは家畜を集めようとする習性からです。股関節形成不全、進行性網膜委縮症(PRA)、遺伝性の難聴(ブルーマール遺伝子に関連するもの)に気をつけてください。また、この犬種以外でも、ペットとして犬を飼う場合には、作業犬系統は避けてください。家庭犬にするには動きが激しすぎるからです。
性格
利口な犬種のひとつに数えられるワンちゃんです。もともとが作業犬、家畜犬として作られた犬種なので、庭にひとりで放っておくことはできません。いつも活動していなければならず、すぐ退屈し、それが深刻な問題を引き起こすきっかけになることもあるのです。注意深く、忠実で、つねに飼い主を守ろうする、勇敢で頼りになるすばらしい番犬になってくれます。