アラスカン・マラミュート

アラスカン・マラミュートは、今から2000~3000年前にアラスカのマラミュート・エスキモーの間で飼われ、彼らの唯一の交通手段として大切にされていました。人間が移動するための軽いそりを引くのにも、食料品など重い荷物を運ぶのにも活躍。のちに、アメリカのバード海軍少将の南極遠征にも同行しました。非常に力持ちで辛抱強く、愛情がこまやかです。

大きく、たくましく、骨太の体形のワンちゃんです。尾の毛はフサフサで、背中にかかっています。この犬種に、辛抱強さと体力は期待できますが、スピードは期待できません。頑丈な胸が体高の2分の1近くもあるのです。足の部分はやわらかな毛で覆われていますが、足裏は頑丈。頭は幅広で、耳は直立、目は三角形の茶色(青い目はよくありません)で、目と目の間がやや離れています。ストップ(両目の間のくぼみ)は浅いものがよいとされています。被毛は、外側を守るゴワゴワしたオーバーコート (上毛)と、フワフワで油っけのある密生したアンダーコート (下毛)との二重構造です。毛色は、白、白と黒、ウルフ・グレイ、ウルフ・セーブル(下毛が赤、上毛がダークグレイ)、赤。白は純白のみが認められています。体の一部に色の濃い部分を持つワンちゃんが多く、顔と頭部の色だけが濃くなっているワンちゃんもいます。そのほか、下腹部が白で、それ以外の部分はコ ンビネーションになった毛色もよいとされています。前頭部と首、あるいはそのどちらかに焔の形をした白い毛があると、ブラス・アルファのポイントになります。赤以外はどんな毛色でも、目の周囲と鼻、唇が黒いものが認められています。噛み合わせはシザーズ・バイト(上歯が下歯にややかぶさるはさみ状の噛み合わせ)が標準。地域によって大きさの公式基準が多少異なることがあります。

元気に駆け回る子犬の頃は、健康や体質・気質の問題が起こりやすいので注意してあげましょう。リーダーシップをとろうとする性質が強いので、 家の中でのマナーを教えるのは難しいかもしれません。自分のテリトリーだと思った所を歩き回るのが好きなこのワンちゃんには、しっかりしたフェンスのある庭が必要です。犬の中では静かな方ですが、遠ぼえはよくします。また、獲物を捕まえようとする本能が強いので、ふだん見かけない小動物が近くにいる時など、地面を掘ってしまうこともあるので、注意してください。子猫をわが子同様に育てることでもよく知られています。極寒に耐えられる被毛を持っていますが、暑い季節には弱いので、夏場は日陰の涼しい環境をととのえて、冷たい水をたっぷり用意してあげましょう。抜け毛の季節には、毛がたくさん抜けます。また、人間や他の犬との適度な交流も必要なので、服従訓練はぜひ行ってください。オスにもメスにも他の犬に攻撃をしかける性質があり、同性同士、同犬種同士のときは特に険悪な雰囲気になります。寿命は一般的に長く、12年前後(大型犬としてはかなり長寿です)の生涯をおくります。股関節異形成(大型犬種の中では少ないほうです)と軟骨形成不全(小人症の一種)を起こしやすい傾向があります。

子犬は、手に負えないほどやんちゃです。でも、仲よく遊べるような子供にとっては素晴らしい相手になるでしょう。成長するにつれて、威厳と落ち着きが出てきます。非常に人なつこいので、番犬には不向きです。よくかまってあげれば、外で暮らすことも好みますが、彼らが「仲間」として意識している人間が生活している屋内での暮らしもまんざらではありません。ただし、注意をしないと、大変な問題を引き起こす可能性があります。わずか3時間で総額で約200万円ものリビングセットを完全にダメにしたつわものだっているのです!外で活発に行動することが好きですが、きちんとほめながらしつければ、言いつけをよく守ります。正式の服従訓練はしにくいかもしれませんが、平和な雰囲気が好きなので、お行儀よくさせることはそれほど難しくはありません。オスは、リーダーシップをとりたがる場合があります。