歴史
古代エジプトの墓所から、このワンちゃんによく似た犬のミイラが発見されています。その後、ローマ帝国において盛んに品種改良が行なわれたらしく、ポンペイの溶岩流からも小型のグレーハウンドがいたという証拠が見つかっています。16世紀には、その優美さからヨー ロッパ貴族にもてはやされ、当時の絵画によく登場しています。イングランド王ジェームズ1世、ロシアのエカテリーナ女帝、ジェームズ?世の妻のアン王妃、ビクトリア女王などにも愛されたと言われています。なかでもプロイセンのフリ-ドリヒ大王は、この犬のあまりのかわいさに戦争にまで連れていきました。また飼っていた犬が死ぬと、大王は亡きがらを自分の手でサンスーシ宮に埋めたそうです。1991年、大王の子孫は遺言を受け入れて、大王の遺体をサンス-シ 宮に移し、愛しい犬の埋葬地の隣に埋めました。また、19世紀のアフリカのある族長は、この優雅な犬がすっかり気に入ってしまい、犬1頭と引き換えに家畜 200頭を渡したそうです。今日ではすぐれた家庭犬として知られています。
特徴
小型のグレーハウンドで、ほっそりとして優美な姿です。頭は長く、マズル(鼻口部)は先細りしています。大型の仲間と比べて、胸は深く、腹はぐっとへこんでいて、背はアーチ状です。細く薄い耳は頭のうしろへと垂れていますが、警戒しているときは直立します。短くてなめらかな毛は手入れしやすく、色は淡黄褐色、クリーム、赤、黒、ブルーがあり、白い斑が混じっています。また、白い毛色に黒、黄褐色以外のカラーの斑が混じっているものもあります。走るときは脚を高く上げます。
飼育のポイント
トイレのしつけは難しいでしょう。寒さにとても弱いので、寒い季節に外出するときはセーターを着せてあげてください。全体的にしつけやすく、世話をしやすいワンちゃんです。見かけよりも丈夫ですが、膝蓋骨脱臼、骨折などしやすいでしょう。また、進行性網膜委縮症(PRA)や癲癇にも気をつけてください。足は非常に速く、若いワンちゃんはとても活発です。好奇心も強く、戸外では金網のフェンスを登ったり、家の中では椅子からテーブルの上、そこから近くの家具へと飛び移ったりします。追いかけ合ったり、体をぶつけ合ったりして遊ぶのが好きなので、グレーハウンド同士で遊ばせるときは、けがをしないようにそばで見てあげてください。大型犬と遊ぶのはお勧めできません。メスのお産は軽く、すぐに母親らしさを見せます。定期的に歯磨きをして、爪も切ってあげてください。短い距離のジョギングなら、いいパートナーになってくれますが、散歩のお伴の方が向いています。
性格
優しくて従順、愛情深いワンちゃんです。また、賢くて遊び好きでもあります。ときどき緊張したり、臆病になったりしますが、もともと穏やかに行動します。世話やしつけも優しくしてあげてください。依存心がとても強いです。もの静かなので、騒々しさには耐えられません。おびえるとかみつくこともあります。