イングリッシュ・コッカー・スパニエル

コッカー・スパニエルとスプリンガー・スパニエルは、大きさが違うだけで、一緒に作り出されましたが、1892年に初めて英国ケンネル・クラブが、別々の犬種として認定しました。さらに1940年代に、米国とカナダのケンネル・クラブは、イングリッシュ・コッカー・スパニエルをアメリカン・コッカー・スパニエルとは別の犬種として認定しました。「コッカー」という名は、このスパニエル犬がもともと狩りの対象とするように改良された、ヤマシギ(ウッドコック)に由来しています。コッカー種は、ヤマシギ以外の鳥の狩りも得意で、感度のよい口をしているので獲物の回収もたくみです。イングリッシュ・コッカーは、複雑な地形で狩りを上手にこなします。現在では、善良な性格をしているので、家庭犬として用いられることのほうが多くなっています。

敏捷な引き締まった体形の中型犬で、長い耳は前に引っ張ると少なくとも鼻まで届きます。がっしりしていますが大きくはなく、頑丈でバランスがとれていて、品があります。頭蓋の上面は、マズル(鼻口部)の上面とほぼ平行で、マズルは頭蓋の長さとほぼ同じ長さです。暗色で卵形の目は、柔和で心を和ませながら、知的な表情を浮かべていなければなりません。毛の長さは中くらいです。脚と腹は、たっぷりと羽毛状の毛に覆われています。鼻は被毛の色(黒が好まれます)によって、黒または茶色です。歯はシザーズバイト(上歯が下歯にややかぶさるはさみ状の噛み合わせ)でなければなりません。背中の線はほぼ水平で、キ甲(肩間の背の隆起)から尾の付け根に向かって少しだけゆるやかに傾斜しています。胸は非常に深くよく発達していますが、広くはないので、きびきびした動きを邪魔することはありません。尾は通常断尾します。足は丸く猫の足に似ていて、引き締まったつま先はアーチ形です。毛色は、黒、レバー(茶褐色)または赤の単色、または、白地に黒、レバーまたは赤の斑や小さい斑点のパーティカラーの組み合わせがあります。黒、レバーまたはパーティカラーの犬には、タンの斑が入ることもあります。イングリッシュ・コッカー・スパニエルには、フィールドとショータイプの2タイプがあります。フィールドタイプは、ショータイプより短い被毛をしています。

イングリッシュ・コッカー・スパニエルは、繁殖がアメリカン・コッカー・スパニエルほど無計画ではなかったので、ペットとしてはより薦められます。コッカー種は敏感ですが、独立心が強く利口なので、とても穏やかに、しかし、毅然とした態度でしつけなければなりません。家庭に猫がいれば仲よくなれます。この犬種は、やや耳の感染症にかかりやすい傾向があります。定期的に耳の掃除をしてあげてください。被毛は手入れが必要です。特にたっぷりした、綿毛のある、もつれやすい被毛があります。絹糸状でペったりと寝ている被毛もあります。被毛の種類は犬によって実に様々です。イングリッシュ・コッカー・スパニエルは太りやすいので、食事を与えすぎないように注意してください。

丈夫でエネルギッシュ、陽気で愛らしく、やさしく、愛情深い犬です。生き生きとしています。子供にはすばらしい犬で、穏やかで遊び好きですが、あまりからかわれるのは我慢できません。すばらしい家庭犬です。一般的に社交的ですが、犬によってはよそよそしいことがあります。気質は実に様々ですから、個々の血統を調査してください。メスの中には、かなり支配欲の強いものもいるので、非支配的な飼い主には向きません。オスはもっと協調的な傾向があります。フィールドタイプの血統の犬は活動的すぎてペットには向かないかもしれません。