ウェルシュ・スプリンガー・スパニエル

ウェールズ生まれの並外れて強健な獣猟犬で、14世紀以前に作り出されたものと思われます。この犬の初期の歴史は、イングリッシュ・コッカーやイングリッシュ・スプリンガー・スパニエルなど英国生まれのスパニエル種の歴史に似ています。当初スパニエル種はコッカーあるいはコッカー・スパニエルと総称され、血統を管理するケンネル・クラブもなかったので、異種交配が行われることも少なくありませんでした。ウォーター・スパニエルとランド・スパニエルに分類されたのは後年のことです。初期の記録にはウェルシュ・コッカーに触れたものがたくさんあり、これが今のウェルシュ・スプリンガー・スパニエルの祖先かもしれません。年月を経る間に派生する血統が増え、コッカー種からスプリンガー種が分かれました。ウェルシュ・スプリンガーとイングリッシュ・スプリンガーがそれぞれ独立の血統になったのは20世紀に入る少し前のことであり、これより遅れてアメリカン・コッカー・スパニエルが登場しました。ウェルシュ・スプリンガーは抜群のスタミナの持ち主で、どんな天候でも、どんなに険しい地形でも何時間も続けて活動して疲れを知りません。スプリンガーという名前は、隠れている獲物を見つけ出し、飛び出させることが得意なその才能にちなんでいます。獲物を見つけると尾の振り方が速くなります。陽気な性質の、素晴らしいコンパニオンドッグ(伴侶犬)であり、家庭犬です。

引き締った感じの中型犬。被毛はすべすべして、濃いレッドと白。直毛かわずかにウェーブがかかってぺったり寝ており、長さは中くらいですが、胸と腹側、脚、尾の毛は羽毛のようにふわふわしています。頭はやや丸みを帯び、マズル(鼻口部)はかなり角張っています。耳は垂れてやや長く飾り毛があるので、セッター種の耳に似ていなくもありません。目は栗色か暗色。イングリッシュ・スプリンガーより多少小型で体重が軽く、イングリッシュ・コッカー・スパニエルよりやや体高があって大きめです。

この犬種の注意すべき重要ポイントは股関節形成不全です。癲癇と眼瞼内反症にかかりやすい血統もあります。狩猟の訓練は比較的幼い頃から始め、あちこち歩き回らないことを覚えさせましょう。このウェルシュ・スプリンガーは、暑くても寒くてもその被毛のおかげで快適に過ごすことができます。一般に他のペットと仲よくつきあいますが、子犬の頃から一緒に育てると特にうまくいきます。

いつも機嫌がよくて陽気。イングリッシュ・スプリンガーほど外向的ではなく、人から自立する傾向がやや強いと同時に敏感でもあります。臆病にならないように、人によく慣れさせてください。なかには防衛本能の強い犬もいます。このウェルシュ・スプリンガーには、家族のいろいろな生活の場で仲間入りさせてあげることが必要です。