歴史
14世紀、クミン氏族が羊の群れを守らせるためにハンガリーに連れてきた大型犬。それ以来、今日まで牧羊犬として活躍し、もっとも古い記述は16世紀に書かれています。作業犬としてのコモンドールは、主人の家畜をひとりで守るため、あらゆる気候に耐えながら、1年のうちの何ヶ月も戸外で過ごすことができます。現代のアメリカでは、番犬や家庭犬、牧畜犬として親しまれています。
特徴
縄のように撚られたユニークな白い被毛で覆われた、大きな体のワンちゃん。羊の群れに混じっても違和感がありません。さらにこの被毛は、家畜の番犬として他の動物と闘うときに相手の動物から身を守ってくれます。オーバーコート(上毛)がアンダーコート(下毛)と合わさって、長い撚り縄のようなフェルト状の被毛になるのです。この被毛が完成するまでには、生後2年ほどかかります。毛色は白ですが、肌の色はグレーがよいとされます。体長の方が体高より長く、背中はまっすぐ。頭部とマズル(鼻口部)はがっしりしていて短めです。目の色は濃い茶色で、耳は縦に伸びた三角形のように垂れ下がり、被毛と同化しています。黒い鼻の上面は、マズルの上部に対してちょうどいい角度になっています。歯はシザーズ・バイト(上歯が下歯にややかぶさるはさみ状の噛み合わせ)が好まれ、噛み合わせはしっかりしています。
飼育のポイント
とても警戒心が強く、見なれない犬だけでなく人間に対しても攻撃的になります。ユニークな縄状の被毛はひんぱんに洗う必要があり、乾かすのに時間がかかります。ブラシやコームは使わずに乾かしてあげましょう。空気のきれいなのどかな郊外で飼い、たっぷり運動させてあげるのが理想的です。病気は、股関節形成不全や鼓脹症、皮フ病にかかりやすいようです。家の中でペットとして飼うには、子犬の頃からいろいろな環境に慣れさせて、徹底的に訓練し、人間の子供とも初めから一緒に生活させることがポイントです。ただし、ほとんどの家庭にはおすすめできません。
性格
まじめで自信家、警戒心が強くて命令好きです。知らない人にはなつきません。なわ張り意識が強く、飼い主の家族や、家、車、家畜を懸命に守ろうとします。飼い主には忠実ですが、託された物や人を脅かす相手には激しく攻撃します。子犬の頃から家族以外のいろいろな人間や他の犬に完全に慣れさせることが必要でしょう。とても強情な面もあるので、経験豊かな飼い主が厳しく完璧に服従させる訓練をしなければなりません。賢いワンちゃんですが、すぐに退屈してしまう面もあります。