歴史
スタッフォードシャー・ブル・テリアのルーツは、初期のマスチフに似た犬で、その後、初期のブルドッグを経て、イギリス諸島で「ブルとテリア」の交配種が生まれました。現在のスタッフォードシャー・ブル・テリアの祖先は、牛や熊攻めの競技や闘犬、ねずみ取り、アナグマ狩りに使われていました。1850年までには、ブルとテリアの血統から顕著に異なる2つの支流が確認されています。1つは、今いる、身のこなしが軽くて鼻梁の高いブル・テリアで、もう1つは、スタッフォードです。1935年、イングランドで出会った愛犬家たちがスタッフォードシャー・ブル・テリアのブリード・クラブを結成し、この犬種の基準書を作成しました。現在のスタッフォードシャー・ブル・テリアは、イギリス諸島、南アフリカ、オーストラリア、また米国でも、家庭用ペットやショー用の犬としてきわめて人気の高い犬です。この犬種は、1974年にAKCで認定登録されました。
特徴
力が強く、筋肉質の犬で、大きさのわりに非常に頑強で、しかも敏捷です。頭部は幅が広く、きわめて強い顎を持っています。マズル(鼻口部)は短く、頬の筋肉が発達しています。ストップ(両目の間のくぼみ)ははっきりとしています。目は丸く、黒色が好まれますが、眼の色は、被毛の色に関連しているケースが見られます。眼の周りの毛が白く、眼のフチがピンク色の犬を除いて、明るい眼やピンク色のまぶたは、基準失格となります。鼻は黒です。歯はシザーズバイト(上歯が下歯にややかぶさるはさみ状の噛み合わせ)です。耳は完全に立っているか、半分立っています。首は短く、筋肉質です。背中の線はまっすぐです。胸部は、肋骨が高く張り出して幅広く、前肢の間隔はかなり離れています。スタッフォードの狼爪は問題にされませんが、AKCの基準によると、後足の狼爪がある場合は通常取り除き、前足の狼爪を取り除くかどうかは任意です。被毛は、滑らかで短く、ほとんど地肌に近いです。ショーに出す犬は、トリミングや頬髭のカットを行ってはいけません。認められている毛色は、赤、黄褐色、白、黒、青、またはこれらの色合いのまだら模様があります。これらの色は、単色でも、白色との組み合わせでもかまいません。ブラック・アンド・タンや茶褐色の犬は、AKCのドッグ・ショーに出場できないことがありますが、登録は 可能で、服従競技には参加できます。
飼育のポイント
スタッフォードシャー・ブル・テリアは、子犬の時、よく物を噛むので、家具を傷つけないためには、常に適当な噛む物を与えるようにしてください。人の手や足を口にくわえることを早い時期にやめさせ、後に問題が起こるのを防ぎます。スタッフォードと引っ張り合いのゲームをする場合、オーナーのリーダーシップを維持するため、命令に従っておもちゃを口から放すようにしつけます。多くのスタッフォードシャーは、穴掘りが好きなので、他の犬種に比べてより安全な環境を用意する必要があります。この犬種には、インビジブル・フェンス(Invisible Fencing:境界線を通ると電気ショックが流れるシステム)を使用しないでください。この犬はかなりの痛みに耐えることができるので、挑発されると、 境界を抜け出し、後で戻るときに、激しいショックをものともせずに中に入ろうとする危険があります。
スタッフォードシャーは、一般に丈夫で、グルーミングもほとんど不要です。スタッフォードシャー・ブル・テリアは、ほとんどの気候で飼育できますが、極端な気候のもとでは適切な保護が必要です。暑い日には、必ず十分な日陰と水を与えてください。暖かい気候のもとでは、激しいゲームに熱中させすぎないように注意します。この犬種は、疲れても自分の意志で遊ぶのを止めようとはしないことがあるためです。適切な保護設備のない寒い場所に放置したりしないでください。また、腹部にはほとんど毛がないため、水浴びのあとや雨の日に出かけたあとは、腹部の下側面をよく乾かすようにします。スタッフォードシャーは、肉厚で筋肉質で、天然の浮力があまりないため、決してスイミング・プールの近くに監視なしで放置しないでください。
子犬の中には、長く伸びた柔らかな口蓋を持って生まれてくるものもいます。この特徴が問題となるほど際立つ場合は、手術により矯正できます。ただし、この矯正手術を行うと、AKCではクラス不適格と見なされます。一部に、腫瘍や遺伝性白内障にかかりやすい血統がいます。父犬と母犬ともに、OFAまたは Penn-HIP検査(腰部と肘部)、また最新のCERF認定(眼)を受けている必要があります。必ず信頼できるブリーダーから購入してください。
性格
きわめて勇敢で、頭が良く、ときに強情です。また、粘り強く、機敏です。家族に献身的で、子供との相性も非常に良いため、スタッフォード シャー・ブル・テリアは、イギリスでは「ベビーシッター犬」として知られています。かなりの痛みに耐えられることから、この犬種は、子供が思わず手荒に扱ったりしても、他の多くの犬種より忍耐強く行動することができます(どの犬種にも言えることですが、犬と一緒にいる子供には常に目を配り、適切な犬の扱い方を教える人があります)。スタッフォードシャー・ブル・テリアの飼育には、人間と触れ合う時間をたくさん必要とします。この犬種にとっては、自分のオーナーたちと一緒に過ごすことが大切なのです。犬だけを放置したり、犬が自ら運動することを期待してはいけません。この犬は、人間との交わりを通じて運動することを好みます。主人が留守なために退屈した犬は、オーナーにとって嬉しくない方法で自分を楽しませようとするかもしれません。
通常、見知らぬ人に対してもフレンドリーなので、家の番犬には適していませんが、必要なときは、ためらうことなく家族を守ろうとします。現在いるスタッフォードシャー・ブル・テリアの祖先(および闘犬の血統を持つほとんどの犬)は、人に対して攻撃的にならないように飼育されています。これは、初期のオーナーが、犬がけんかしている最中でも安全に犬たちを扱えるようにする必要があったためです。人に対して攻撃的な犬は処分され、人に対してきわめて我慢強い血筋の犬だけが残されました。ですから、人に対して攻撃的な犬はめったにいません。
多くのスタッフォードシャー種の犬は、1家庭に1頭だけ飼うのがベストですが、2頭飼いたい場合は、オスとメス1頭ずつにするとうまくいきます。複数の犬を飼う家庭では、人の監視の目が行き届かない場所に残して行く場合、必ず犬たちを別々にしてください。批判に対して敏感で、しつけられることに対して寛容なスタッフォードシャーに対しては、威厳のある態度で扱い、一貫性を持って忍耐強く、積極的にトレーニングを行う必要があります。経験の少ないオーナーは、犬の飼い方を進んで身につけ、犬の攻撃性の問題に責任を持って対処しようと心掛ければ、スタッフォードシャー・ブル・テリアをうまく飼育できるでしょう。
この犬種の成犬は、家族以外の他の犬に対して非常に闘争心が強く、特に他の犬から挑発されたときには注意が必要です。これは、社会性をよく身につけ、子犬のときに他の犬と仲良くできた犬でも同じことです。安全な状況にいる場合を除いて、決して成犬のスタッフォードシャーのリードを放したり、緩めたりしないでください。この犬種は、小動物を追いかけて捕まえたりするよう促すと、これを獲物にする強い本能があるので、小動物と一緒にするときは、十分に注意する必要があります。家庭内で別のペットと一緒に育てられた犬の場合は、うまく共生できることもあります。