スタンダード・プードル

プードルの起源をめぐる諸説の中でおそらく最も有力なのが、ドイツの水上レトリーバー犬を先祖とする説です。しかしまた、現在のスペイン、イベリア半島生まれのスパニエルとも関係があるようです。プードルという名前はドイツ語の「プーデル」(水の中で遊ぶ者)から来たと言われています。ハンターたちはプードルが泳ぎやすいように毛を刈りこみ、厳しい寒さと鋭い葦から身体を保護するため、四肢の関節の毛を残しました。やがてフランス人がプードルの高い知能としつけやすさ、そして持ち前の観客受けのするところに目をつけ、サーカスで芸をさせました。その後フランスで非常に人気の犬種となったところから通称の「フレンチ・プードル」という名が生まれました。ただしフランスでは「カニッシュ」(アヒル犬の意)と呼ばれています。

プードルは森で土中に埋まったトリュフを嗅ぎ出す仕事に使われてきました。プードルは15世紀の絵画に登場し、また1世紀の装飾のモチーフにもなっています。トイ・プードルは特に18世紀の王室にも愛されました。トイ・プードルやミニチュア・プードルなどの派生種は現在スタンダード・プードルといわれる種より大きな種から生まれました。このように3種類のサイズがありますが、みな1つの犬種として扱われ、(コンテストでは)同じスタンダード(犬種標準)で審査されます。プードルは何でもできるのですが、現在は主に家庭犬やショードッグとして知られています。

プードルの、くるくるとカールして密に生えた毛のグルーミングの基本形は3種類。ペットクリップ(またはパピー・クリップ)は全身を短く刈るスタイルです。イングリッシュ・サドルクリップとコンチネンタル・クリップ(ライオン・クリップ)は体の後ろ半分は剃って足首のまわりにはぐるりとリング状に、尾と尻にポンポン状に毛を残すスタイルです。

尾は自然の長さの半分か、それより少し短めに断尾します。狼爪はだいたい切除します。毛色は常に単色で、黒、ブルー、シルバー、グレー、クリーム、アプリコット、レッド、白、ブラウン、カフェオーレ色があります。卵形の小さい足は水かきがついたようになっており、つま先はアーチ形です。平らで幅広の耳は、頭に沿って長く垂れています。頭は長めでアーモンド型の暗色の目が機敏な表情を見せています。よいプードルはシルエットが正方形で、胴の長さがキ甲(肩間の背の隆起)で測った体高とほぼ同じ長さです。

PRA(進行性網膜萎縮症)や涙目、耳の病気にかかりやすいので注意しましょう。耳は定期的に掃除し、中の余分な毛は抜いてあげることです。毛足の長いグルーミングスタイルなので、週に数回のブラッシングが必要です。きちんとしつけをしないと、スタンダード・プードルはむだ吠えをするようになりがちです。大変人気のある犬種ですが、性格の善し悪しで後から悩むことのないように注意しましょう。

プードルは陽気でとても頭がよくて敏感、大変しつけやすい家庭犬です。芸もよく覚えるので、サーカスの人気者。見る人を楽しませるお利口さんです。多くのプードルの飼い主が、この犬には、人間の言葉を理解する不思議な能力があるように感じます。子どもたちと遊ぶのが大好きなワンちゃんもいれば、敏感で神経質なワンちゃんもいて、神経過敏になるおそれもあります。子犬を買うときは十分注意が必要です。まずは両親を見て、気に入ったらその子犬を選ぶといいでしょう。祖父母にあたる犬も見せてもらえると、なお安心です。知らない人にはかなり用心深いので、子犬の頃から人に慣らしましょう。飼い主がしつけをして人に慣らそうとすれば、ちゃんと応えてくれるワンちゃんです。