チベタン・スパニエル

古代チベットでは犬はたいへん珍重され、しばしば王家への贈り物として献上されました。この習慣により、犬がアジア各地に広まることになったのです。特に区別しないで飼育されていたことから、チンやペキニーズなど他の多くの東洋犬種と同族関係にあると考えられています。チベタン・スパニエルによく似た犬の描写は早くも紀元前1100年の中国の青銅像に見られます。チベットの寺院では、家庭犬や番犬として用いられました。高い塀の上に座り侵入者のわずかな気配にも吠えて知らせていたのです。また、主人のために祈祷輪筒を回転させていたとも言われています。今でもこのワンちゃんは、自分の周囲を見張るために高い場所に座ることが好きです。1800年代の後半に初めてイギリスに連れて来られました。アメリカン・ケンネル・クラブ(AKC)に承認されたのは 1984年のことです。今では、家庭犬やショードッグとして人気がある犬です。

小型犬でかなりペキニーズに似ています。しかし、顔はもう少し長めで、被毛もペキニーズほど豊かではなく、目のまわりの皮フにもたるみは見られません。体長は体高よりやや長めです。身のこなしは誇らしげです。頭のてっぺんはわずかに丸みがあり、中くらいの長さのマズル(鼻口部)は丸みをおびています。表情豊かな卵形の目はこげ茶色で、鼻の色は黒です。わずかに下あごが突き出た噛み合わせが好ましいとされます。羽飾りのついたような尾は背中の上で巻いており、垂れた耳には羽毛状の毛が生えています。被毛は、柔らかく絹糸状で中くらいの長さです。首にはふさふさした長い毛が生えています。被毛の色はさまざまで、金色、クリーム色、淡黄褐色、赤、白、黒、黒&黄褐色があります。これらの色は、単色、混色あるいはさまざまな濃淡の場合があります。足は小さい兎足です。

通常、他の動物との相性はよいです。生命にかかわるような病気にかかる傾向はありません。平らな顔のため、日射病や呼吸器の病気にかかることがあります。この犬種は、成長のスピードがゆっくりしていて長生きします。メスの発情期は1年に1度だけです。赤ちゃんは小さく、一度の出産で生まれる子犬は平均3頭から6頭です。子犬は生後5ヶ月または6ヶ月になると、成犬の長い被毛が生え始めます。1年に1回、被毛がふさふさと体をおおいます。

元気がよく陽気な性格。たいへん利口で人を信じて疑いません。優しく、家族の人間を愛しますが、知らない人にはうちとけず、家族、特に子供を守ろうとします。すばらしい番犬で、侵入者や異常を感知すると吠えます。キャンキャン吠えたてることはありません。ときどき、やや強情でわがままな面もあります。