歴史
もともとチベットの僧侶が交配を行なって作り出した犬種です。古来よりこの犬種がもとになって他の多くのチベット犬種が作られたのです。チベタン・テリアは幸運をもたらす犬とみなされていました。そのため、しばしば贈り物にされることはあっても、決して売られることはなかったのです。この犬種は、 A.R.H.グリーグ医師の功績によって西洋に紹介されました。グリーグ医師は、最初は感謝の印として患者から、次にダライ・ラマ自身から、数頭の犬を贈られたのです。のちにグリーグ医師は、イギリスにチベタン・テリア・ケンネルを設立しました。米国では、主にペットとして家庭犬となっています。
特徴
この中型で四角い体形をしたワンちゃんは、テリアというより牧羊犬に似ています。キ甲(肩間の背の隆起)のところで測定した体高が42.5センチ以上、または35センチ以下の場合は欠点とされます。ダブルコートは体全体を覆っていて、間隔の離れた暗色の目の前にさえも覆いかぶさっています。細いオーバーコートは直毛またはウェーブがあります。アンダーコートは柔らかで羊毛状です。被毛は長いですが、地面に届くほどではありません。この犬種では毛色は白も含めてどんな色(あるいは色の組み合わせ)でも容認されています。季節ごとに換毛することはありませんが、毛の量が多すぎる場合は多少の抜け毛が発生します。尾は毛が豊かに密生しており、背中の上に掲げられています。羽毛に覆われたようなふさふさとした垂れ耳は、頭にぴったりつくほど垂れてはいません。鼻の色は黒。下あごにはわずかにあごひげが見られます。好ましいとされる口元は、ぴったりとしたシザーズバイト(上歯が下歯にややかぶさるはさみ状の噛み合わせ)、あるいはぴったりとした逆シザーズバイト(下歯の内側の表面が上歯の表側の表面に触れる噛み合わせ)です。背線は水平です。豊かな毛に覆われた独特の大きい平らな足は、雪の中で沈みこまずに進むことのできる雪靴のような効果があります。忍耐力だけでなく優れた機敏さを兼ね備えたワンちゃ んです。
飼育のポイント
米国でのチベタン・テリアの血統は、体高、被毛や性格の点から見るとさまざまです。子犬の詳細な血統についてブリーダーに確認してください。長い被毛は入念な手入れが必要なので、ショードッグでない場合、多くのオーナーは特に夏場、毛を刈り込みます。1週間から2週間ごとにお風呂に入れてあげましょう。ノミにたいへん敏感に反応することがあります。2、3日ごとにピンブラシまたはスリッカーブラシでブラッシングをします。被毛が乾いた状態ではブラッシングをしないようにしましょう。必ずブラッシングしやすいようにコンディショナーや水で湿らせた状態で行ないます。初心者の飼い主は、被毛の多い犬種のグルーミングに責任をもつ心構えが必要です。抜け毛はたいへん少ないので、アレルギー症の人が飼うのにいい犬種のひとつとされています。特に優秀な番犬になります。
性格
優しく穏やかで愛情深い性格。おもしろく元気いっぱいです。わがままな面もあります。家族には忠誠を尽くしますが、知らない人は警戒します。なかには警備犬に向くワンちゃんもいます。