歴史
ニューファンドランドの起源についてはいろいろな説があります。この犬種はインドの遊牧民が飼っていた犬である、あるいはヴァイキングの「熊犬」の子孫であるともいわれます。しかし、いちばん支持されている説は、1700年代初期に英国などのヨーロッパ漁民がカナダに連れてきたチベタン・マスティフと地元の犬との交配でできたのが最初だというものです。いずれにしろ、この犬種はニューファンドランドやカナダ沖合で漁民の片腕となって働くようになりました。この巨大で穏やかな犬は、網を引いたり、漁船のロープを岸へ運んだり、船から水中に落ちた物を回収したり、難破した人や溺れる人を助けたりして活躍しました。昔も今も、きわめて優秀な水難救助犬なのです。材木の運搬や郵便、そりの牽引、牛乳配達、梱包した荷物の運搬などにも使われました。第2次世界大戦中には、アラスカやアリューシャン列島で猛吹雪の中を軍用の補給物資や武器弾薬の輸送に従事しました。今日では主に家庭犬として飼われています。しかし水上競技、服従競技、荷車引きや荷物の背負い運搬なども得意です。
特徴
堂々とした強く大きな犬で、幅広で重量感のある頭をしています。幅広のマズル(鼻口部)は短く角ばっています。小さな三角の耳は垂れています。小さな目はこげ茶色、鼻は概して黒です。ただし体がブロンズ色で鼻が茶色の犬もいます。足は泳ぎやすいように水かき状になっています。後肢の狼爪は除去します。尾は垂れています。水をはじく長い上毛は平らで脂を含み、少しウェーブがかかっており、脂を含んだ厚い下毛が一緒に生えています。毛色はほとんどの場合、黒(時には足や尾の先端や胸に小さい白い部分が見られることがあります)とランドシーア(黒い斑点のある白)です。また時には茶色やグレーのものもいます。
飼育のポイント
股関節形成不全に注意しましょう(ニューファンドランドは肥満させてはいけません)。大動脈弁下狭窄症(SAS)という遺伝による心臓病にもなりがちです。ブリーダーは子犬が生後8週から12週になったら、心臓専門の獣医師による心臓検診を受けさせなければいけません。成犬も繁殖前には再度SAS検査をして疾患のないことを確認する必要があります。暑さにはとても敏感です。暑い時期には日陰と冷たい水を十分用意しましょう。大量の水を飲みますが、濡れるのが大好きなので、まわりを水でビショビショにすることがあります。他の大型犬ほどではありませんが、よだれをたらす癖があります。春と秋に、年に2回ほど換毛しますが、春がもっとも激しい抜け毛の季節です。子犬のときは大量のフードを食べますが、成犬になるとレトリーバーと同じくらいの食事量です。泳ぎが大好きです。水辺に行くときは、寝袋は持たせないようにしないと、濡れた寝具で一夜を過ごすことになりかねません。
性格
静かで優しく忠実。信頼できる気立てのよい犬です。威厳があって温和です。非常に献身的です。オーナーに心から尽くすので、新しくもらわれて来た家にはなかなかなじめません。善良で勇敢。利口なので必要な場合は自分の判断で行動できます。防衛的ですが、侵入者などがあった場合は、吠えたりうなったりするより、むしろ身を犠牲にしても家族との間に割って入ります。危険にいち早く気がついて、家族を守るためにすぐ行動します。我慢強く遊ぶのが好きで、子供と一緒にいるのが大好き。いわば生まれながらのベビーシッターです。とても社交的です。戸外活動を好みますが、仲間を欲しがります。オスは他のオスに対して攻撃的なところがありますが、一般に他の動物と相性はよい方です。体が大きいので動作が概して緩慢です。しつけの際にはこのことを念頭においてください。