歴史
一説には、他のフレンチ・ハンティング・ハウンド種から生まれた小型犬がこの犬種のもとになったといわれています。バセットの名は、フランス語で「低い」を意味する「バ」からきています。嗅覚が非常に鋭く、シカ、キツネ、ウサギや鳥などの狩りで活躍してきました。単独でも群れでも狩りができます。背が低いので、密生したやぶの中では目立たず特に役立ちます。歩くのも遅く、徒歩の狩猟者とともに歩くのに向いています。また獲物がこわがって遠くへ逃げることもありません。また、ブラッドハウンドにひけを取らない嗅覚の持ち主です。ジョージ・ワシントン大統領が飼っていたのも、アメリカ独立戦争の後にラファイエットから贈られたバセット・ハウンドだったと言われています。1885年に初めてアメリカン・ケンネル・クラブ(AKC)に承認されています。
特徴
胴長で四肢が短く、骨格はしっかりしていて、ブラッドハウンドを小型にしたような姿です。頭は大きく丸みがあり、後頭部が突き出すように目立って出ています。マズル(鼻口部)の上の面は頭の上と平行になっています。皮フがたるみ、そのたるんだ部分はあごのところで垂れ下がり折り重なっています。なめらかな手ざわりの耳は、鼻の前で重ねられるほど長く、平らではなく折れていることがよしとされます。歯が大きく、シザーズバイト(上歯が下歯にややかぶさるはさみ状のかみ合わせ)、またはレベルバイト(上下の歯がぴったりと合わさっている噛み合わせ)でなくてはなりません。口もとは大きく垂れ下がっています。茶色の悲しげな目には、戸惑ったような色が表れています。きついところのない穏やかな表情がよいとされます。のどに目だった皮フのたるみがあります。胸はとても深く、前脚よりも前にせり出しています。足は大きく、体の後ろ半身は丸みがあります。狼爪は切除されます。動きはゆったりとしていますが、愚鈍な感じではありません。
飼育のポイント
動きがゆったりとしているわりには、たくさんの運動量が必要です。すばらしいスタミナの持ち主で、見かけよりも機敏。地面に鼻を押しつけてにおいをかぐのが好きなので、寄生虫を取り込みやすいといえます。定期的に検査を受けましょう。また、においをかいでいるうちに、あたりをさまよいはじめるので、庭にはフェンスが必要です。長く垂れた耳はこまめに拭いて手入れしてあげましょう。背中を痛めやすいです。寂しいときなど、長く低い声でうなります。食事は与えすぎないでください。他のペットとも仲良くすることができます。狩猟系統とショー系統では、いくぶん性格が違います。抜け毛が多いので、こまめにブラッシングしてください。ワンちゃんによっては猟犬らしいにおいがあります。厚い足の爪は伸びるのが早く、ひんぱんに切らなくてはなりません。おおむね手入れのしやすい犬です。
性格
たいへん愛情深く、穏やかで忠実です。落ち着きがあり、生まれつき行儀のいいワンちゃんです。愛らしいですが、強情な面もあります。しつけは優しく根気よく、ほめ言葉をかけるといいでしょう。感情の起伏が激しかったり、ケンカ早かったりしない、優しい性質がよいとされます。食べ物をもらうためには上手に芸をします。