バセンジー

とても古い犬種で、エジプトのファラオの墓の壁面に、似たような犬の姿が描かれています。かつて探検家がザイールでこの犬種を発見しましたが、その当時は野生動物の狩猟用に使われていました。獲物のいる方向を知らせたり、打ち落とした獲物を運んできたり、匂いを嗅いで獲物の居場所を探したり、獲物を追い立てるなど、狩猟に関するさまざまな仕事をすることができます。アメリカに初めて持ち込まれたのは、1941年。今日では家庭犬として親しまれていますが、ルアコーシングでも優れた能力を発揮します。

エレガントでスポーティーなワンちゃん。フォックス・テリアほどの大きさの小型犬です。被毛は、光沢があってなめらか。毛色は、赤褐色、赤、黒と黄褐色の2色、黒、ブリンドル(ブチ)などです。アメリカン・ケンネル・クラブ(AKC)のスタンダードに当てはまるのは、足が白く、胸と尾の先も白のもの。また、顔にも白の斑が入り、四肢や首まわりが白い場合もあります。背は水平で、四肢は長く、ひたいにはしわが刻まれています。耳は立ち耳。尾はくるりと巻き上げられ、背の一方に傾いています。走り方に特徴があります。

このワンちゃんはあまり吠えないのですが、その代わりに、歌うような声、遠吠え、うなり声、ニワトリのような声など、気分に応じていろいろと奇妙な声を出します。また、大変なきれい好きで、食事の後に足で顔をこするなど、猫のような身づくろいをします。被毛が濡れていても犬特有の匂いはほとんどしません。ひとりで放っておかれると破壊的になり、フェンスや木を登って脱走することもあります。アフリカのジャングルで獲物を追うように育てられたので、走るのが速く、なかなかつかまえられません。囲いが十分でない場所では、リードをはずさないようにしましょう。ワンちゃんが脱走してしまわないよう、早い時期からサークルや安全な囲いに慣れさせることを心がけてください。貧血症やファンコーニ症候群(腎機能不全)にかかりやすい犬種ですが、ブリーダーは、こうした病気の要因を取り除く努力をしてきました。アフリカから新しい血統種を取り入れて交配したり、病気に関する試験のための研究を支援したり、病気にかかった犬を繁殖プログラムからはずしたりといった取り組みです。ただしアフリカの血統種はアメリカの血統種とは少し異なり、厳密にはアメリカの基準には当てはまりません。ヘルニアや目の病気にかかることもあります。ほとんどの家庭犬は、発情期を年に2回迎えるのですが、この犬種の発情期は年に1回しかありません。

とても注意深く、活発で遊び好き。すぐに人の気を引きたがります。独立心が旺盛で、冷淡な部分もありますが、人間と強い絆を結ぶこともできます。子犬の頃からいろいろな人に慣れさせておきましょう。かなり強情ですが、きちんとしつけることは可能です。