歴史
ハンガリーの狩猟犬の一種。マジャール人の間で飼われていた犬、トランシルバニアン・ハウンドやターキッシュ・イエロー・ドッグ(絶滅種)、いくつかのタイプのポインターなどが祖先だと推定されます。第一次世界大戦後、ビズラは絶滅寸前の状態でしたが、ハンガリーの人々は残り少なくなっていたビズラを守り育て上げました。第二次世界大戦後はハンガリーが旧ソ連の支配下におかれたため、この国の人々は貴族のシンボルであるビズラが皆殺しにされるのではないかと心配しました。愛好者の中には、ひそかにオーストリア、米国、その他の国々にビズラを移した人もいました。「ビズラ」はハンガリー語で「ポインター」という意味です。抜群の嗅覚をもつ素晴らしい回収犬であり、沼地のような所でも活躍する、小型猟鳥獣の優れた猟犬でもあります。また、服従競技でも他にひけをとることはありません。優しく人なつこい性質をもつことから家庭のコンパニオンドッグ(伴侶犬)としてぴったりです。
特徴
筋肉質でスタイルのよい中型の狩猟犬。さび色がかった金色の美しい短毛をもっています。頭はほっそりとして輪郭がはっきりしており、貴族的な雰囲気をただよわせています。ストップ(両目の間のくぼみ)もほどよい程度。マズル(鼻口部)は角張っていて奥行きがあり、鼻は茶色です。頭蓋は両耳の間の幅がかなり広く、額の中央の上方に筋が1本見えます。目の色は被毛の色と調和しています。先端が丸みを帯びた耳は垂れ、どちらかといえば長く、薄くてすべすべしています。前肢はまっすぐです。尾はもとの長さの3分の2に断尾します。被毛はさび色がかった金色ですが、胸とつま先に少しばかり白い色があるのは容認されています。
飼育のポイント
噛む性質があることはよく知られています。股関節形成不全に注意しましょう。ヨーロッパとイギリスではワイヤー状の毛のビズラも承認されています。
性格
愛情深く、感情をはっきり表に出し、優しい性格。防衛本能があります。多少気ままでわがままな面はあっても、賢くてしつけやすい、言い換えると、忍耐強いしっかりした対応が求められる犬です。エネルギッシュで活発なので、運動を十分させてあげないと破壊的行動に出たり神経過敏になることもあります。子犬の頃からよく周囲との関わり方を学ばせ、さまざまな物音に慣れさせてください。神経質あるいは引っ込み思案な性質のある血統の犬は避けるべきです。