歴史
ポメラニアンは、北方に生息していたスピッツがヨーロッパにもたらされ、牧羊に使われるようになったのが起源です。ポメラニアンの先祖は、体重が14kg ほどもありました。マリー・アントワネット、エミール・ゾラ、モーツァルトなどは皆ポメラニアンを飼っていました。1800年代後半、ビクトリア女王はポメラニアンをこよなく愛し、ポメラニアン繁殖用に特別に犬舎を作らせました。女王がポメラニアンを連れて歩いたために、イギリスでは大人気の犬種となりました。ビクトリア女王が小さい犬を好んだため、多くのブリーダーたちは犬種の小型化を図りました。その結果、今のポメラニアンはもともとの大きさより小さくなり、1.8kgから2.3kgほどになっています。ポメラニアンは賢くエンターテイナーとしての才能があるため、サーカスの芸人としても優れています。今日のポメラニアンは、やさしいコンパニオンドッグ(伴侶犬)であり、美しいショードッグでもあります。
特徴
ふわふわした毛の小さな犬で、逆三角形の顔とぴんと立った小さな耳をしています。ブリーダーがキツネに例える顔を持つ犬もいれば、ベビードール風、あるいはパンジー(3色スミレ)形の顔を持つ犬もいます。頭蓋はやや丸みをおびていますが、ドーム型ではありません。輝く暗色のアーモンド形の目をしています。暗色あるいはセルフカラー(被毛とマッチした色)の鼻と目の縁どり。歯はシザーズバイト(上歯が下歯にややかぶさるはさみ状の噛み合わせ)。ポメラニアンは、特徴的なふさふさした尾をもち、それが背中の上までかぶさっています。首のまわりと胸は飾り毛に覆われています。体長は体高よりやや短めで、胸板は肘に達します。二重の豊かな被毛は、普通はソリッドカラー(全身一色です)。あらゆるソリッドカラーが認められていますが、一般的なのは赤、オレンジ、白、クリーム、青、茶、黒。パーティカラー(白地にカラーのマーキング)、黒&黄褐色、ウルフグレー(狼の毛のようなグレー)、オレンジ・セーブル(オレンジ系の黒)になることもあります。オーバーコート(上毛)は長くまっすぐできめが粗く、アンダーコート(下毛)は柔らかく密生しています。理想的な体重は 1.8~2.7kgです。
飼育のポイント
噛みぐせが出ることがありますから、小さな子供の相手には向きません。高齢者の方にはよいコンパニオンとなります。うまく引き合わせれば、ほかのペットと一緒にしても問題ありません。愛玩犬の中で最も自立心が強い犬種のひとつ。生まれたばかりの子犬は非常に小さく弱い存在です。体の小さな母犬は帝王切開を必要とする場合があります。ポメラニアンは偏食になることがありますが、多くは過食しやすく太りやすい傾向にあります。血統によってかかりやすい病気は、膝蓋骨脱臼、心臓や皮膚の疾患、目の炎症など。ポメラニアンは早くに歯を失いがちなため、歯と歯茎の健康のためにドライフードを食べさせたほうがよいでしょう。獣医師に定期的に歯石を取ってもらいましょう。熱射病にならないよう、暑いときには安静にしておいてあげてください。ポメラニアンはとても人気が高いため、需要を満たすためににいい加減な繁殖も行われています。犬を選ぶ際は信頼できるブリーダーから譲ってもらってください。
性格
がんこで勇敢、愛情深い気分屋さん。陽気で元気なこの小さな犬は自分が大型犬だと思っています。よく響く声で吠えるので、いい番犬になります。誇り高く、機嫌のいい犬。敏捷で好奇心が強く、よく動き回ります。どちらかというと激しい性格です。ほかの動物には攻撃的なので、ポメラニアンをほかのペットと対面させるときはゆっくりと気をつけて会わせてください。しつけは厳しく行う必要があります。学習能力は良好。飼い主をボスとして認識させなければ、飼い主に従いません。甘やかすとたいへんなわがまま者になってしまいます。