歴史
1846年に、ドイツのレオンベルク市の市議会議員、ハインリヒ・エシッヒが作り出した犬種です。ニューファンドランド、グレート・ピレニーズ、セント・バーナードを交配した結果生み出されました。エシッヒ氏は、市の紋章にあるライオンによく似た犬を作ろうとしたのです。レオンベルガーの黄褐色の毛や、胸もとの豊かな毛並みは、その試みが成功した証拠です。これまで多くの王族がこの犬を手元に置きました。オーストリアのエリザベート皇后、フランスのナポレオン二世、ナポレオン三世、英国のプリンス・オブ・ウェールズ、ドイツの宰相ビスマルク、イタリアのウンベルト王などです。19世紀にはこの犬の多くがロシアへ輸出されました。しかし、2度の戦争で絶滅の危機にさらされます。食料が不足していて、この大型犬に食べさせることができなかったのです。第2次世界大戦の終わりまでに残っていたのはほんの数頭でした。1945年になって、ドイツ人が残ったレオンベルガーを集めて復活させました。今日、ヨーロッパではふたたび人気を集め、登録数は25000頭以上と言われていますが、アメリカではまだ珍しい犬種です。1971年に初めてアメリカに紹介されて以来、これまでにおよそ1000頭が登録されています。何でもこなせる犬なので、さまざまな仕事や競技をこなしてきました。家畜の見張り、服従競技、追跡やシュッツハウンドなどです。ドイツでは捜索救助にも用いられ、水難事故での救助犬として高く評価されています。温かく穏やかな性質は家庭犬にも向いています。
特徴
大型で堂々としたワンちゃんです。頭の大きさは中ぐらいで、黒い顔が特徴的です。顔の黒い部分はまゆ毛の上まで広がっているのがよいとされます。鼻と唇の色も黒です。よだれを受ける下唇のたるみもないので、よだれは出ません。歯はしっかりとしたシザーズバイト(上歯が下歯にややかぶさるはさみ状の噛み合わせ)がよいとされます。頭はどことなくドーム形。茶色の目は穏やかで、優しい表情をたたえているのが大切なポイントです。体高よりも体長のほうが少し長く、後脚よりも前脚のほうがやや高めです。首は力強く、たるみのないのがよいとされます。水をはじく毛は硬そうに見えます。色は黄褐色から赤っぽい茶色で、外毛には黒い色が散らばっています。胸に小さな白い班、脚先に白い点があるのは認められています。胸もとの豊かな毛並みは、まるでライオンのような印象を与えます(胸もとの毛が完全に生えそろうまで何年かかかります)。前肢はまっすぐで、ふわふわした毛が生えています。後肢の狼爪は切除されます。ふさふさした尾は後肢のくるぶしまで垂れ下がっています。黒い足には水かきがあり、泳ぐのに便利です。
飼育のポイント
成犬はとても大柄なので、子犬の時からしっかりと社交性を身につけさせてあげましょう。他の大型犬よりも機敏です。そりや荷車を引っ張るよう訓練できます。また、荷物を背負ったりハイキングしたりするのが得意です。股関節形成不全、まぶたの異常、骨の病気にかかりやすい傾向があります。子犬を選ぶときには両親が股関節形成不全と先天的な眼病にかかっていないことを確認しましょう。
性格
優しくて愛らしく、物事に動じません。感情が安定していて穏やかです。人なつこい一方、用心深く忠実です。すぐれた番犬になりますが、ふだんはもの静かです。心優しい巨人といったところです。まじめで賢く、勇敢なワンちゃんです。人を喜ばせるのが好きで、訓練にもよく応えます。子供には愛情深く、我慢強く接します。他のペットといっしょに育ててあげれば、仲よくすることができます。